乳がん診療 Q&A

当院に通われている患者様からよく寄せられる、乳がん診療に関するご質問をまとめました。

Q しこりが小さいときは経過観察が必要なのですか?

A がん細胞は、1個の細胞が1cmのしこりに成長するまでに10年かかるとされています。しかし、がん細胞の成長スピードはここから急に早くなって、3年で10cmの末期がんになります。今は小さなしこりでも、急に大きくなることがありますから、定期的に診察を受けて経過を観察することはとても重要です。

Q 手術の前に薬でがんを小さくしたほうがよいのですか?

A 乳房温存術は3cm以内のしこりが対象になりますが、3cmを超える場合でも手術の前に抗がん剤でしこりが小さくなれば温存術が可能になります。

Q 術後の薬物療法は受けたほうがよいのですか?

A 乳がんは、長い時間をかけて増殖していくタイプのがんです。再発は術後2~3年以内に7割、5年までに8~9割、その後も少数ながら起きますから術後10年までは経過観察が必要です。再発のリスクを少しでも下げるために、術後の薬による治療をおすすめします。

Q ホルモン剤の副作用はどのようなものですか?

A ホルモン療法によってエストロゲンという女性ホルモンを抑えると、副作用として更年期症状が現れます。おもな症状は、ほてりやのぼせなどのホットフラッシュ、気分の落ち込み、イライラなどですが、治療を開始して数カ月たつとしだいにおさまってきます。

Q 抗がん剤の副作用はどのようなものですか?

A 家族に乳がん患者さんがいる場合、いない女性にくらべて2倍以上乳がんになりやすいことがわかっています。抗がん剤のおもな副作用は、吐き気・嘔吐、免疫力の低下、貧血、脱毛、動悸・息切れ、手足のしびれ、関節痛、むくみ、口内炎、下痢、だるさ、爪や味覚の異常などです。それぞれに対して有効な予防法や対処法がありますから、相談しながら治療を進めていきます。